【船員法のご紹介】船長って、ただ船を運転するだけの人だと思っていませんか?

【船員法のご紹介】船長って、ただ船を運転するだけの人だと思っていませんか?

船長って、ただ船を運転するだけの人だと思っていませんか?(船員法のご紹介)

「船員法」という法律、ご存じでしょうか。

一般の方にはなかなかなじみのない法律だと思います。
でも法律の名称に「船員」とつくことから、なんとなく「船乗りさんに関する法律なのかな?」といったイメージがわく方は多いのではないでしょうか。

もちろんそれはその通りなのですが、大海原を航海する船の中って、陸上で生活している時とはまったくちがう生活となることがありますね。

例えば、「気分転換に外に散歩しに行こう」とおもっても、四方を海に囲まれた状況ではそうはいきませんし、お腹がすいたから近くのスーパーへ食材を買い出しに行ったり、レストランで食事しに行ったりするといったことはできません。

また、船内ではおのおのの船員さんが勝手なことをしていたら、万が一転覆や衝突など不測の事態が発生した際、船員のみならず客船であれば乗客の方の安全を確保することができませんね。

こうした状況を防ぐため、船員法においては、「船長」に対し大きな権限を与え、船内のあらゆることを統制する権限を与え、安全な航行を実現するための種々の規定を定めています。

では実際どんな規定があるのか、少しだけ深掘りしてみましょう。

船長の権限3選

  1. 秩序をまもるパワー(第21条)
    「海員」(船長以外の乗組員のことです)に対し、船長の指定する時までに船舶に乗り込む、許可なく船舶から去ってはいけない、船内にある限られた食料や淡水(飲料水などです)を(濫費)必要以上に使用しないなどと定め、船内における秩序維持のための規定を設けています。
  2. 乗客に対しても強力な権限?(第7条)
    船長が海員に対し指揮命令権を有することは前述しましたが、限られた空間ともいえる船内においては、海員以外の者(乗船客をイメージしてください)に対しても、船長自らの職務(船内の秩序維持)を行うのに必要な命令をすることができる、と定められています。
  3. お葬式まで行うの?(第17条)
    船内は陸上とは異なる環境であるため、先述したスーパーへの買い出しやレストランでの食事等、陸上でできることがそのまま行えないものもあります。
    例えば、不幸にも船内で亡くなる方が発生した場合を考えてみてください。陸上であれば、葬儀業者の手配、一般的にはお通夜から葬儀まで一連の手続きが進行します。でも、これが船上であったらどうでしょう?(仏式であれば)読経や焼香など、必要な儀式を行うことは困難です。また、遺体を長期間船内に適切に保存することも難しいですよね。
    そこで、船員法では船長に対し、船舶の航行中船内にある者(海員や乗客もです)が死亡したときは、水葬にすることができると定めています。  水葬とは、遺体を海や川などの水中に沈めて葬る葬送方法です。古代より魂を自然に還す宗教的な儀式として行われてきましたが、現代の日本では刑法上の遺体遺棄罪に問われるため、原則違法です。しかし、航海中の船上で死亡した際には例外的に違法とはならない旨規定されているのです。

こうした権限が認められるのはなぜなのか?

冒頭でも述べた通り、航海中の船舶は陸上とはまったく異なる環境下にあり、いわば孤立無援の状況です。

いいかえれば、何か困ったことがあるからといって警察や病院が近くにあり、そこで相談できたり治療を受けたりすることはできないのです。

だからこそ、船長をリーダーとして権限を集中化させ、乗客を含めた全員の命を守る仕組みになっていると、いうわけです。

海事代理士としての視点

海事代理士としての視点

以上みてきたように、船長の権限は強固である分、その責任は非常に重大であること、また、本稿でみてきた事例はほんの一例であり、船員法の規定するルールは船長に関するものに限らず、非常に複雑で多岐に渡ります。

海事代理士はこうした船員法の規定を理解した上で、お客さまに対して書類や各種手続きの面でサポートし、お客さまが船舶を円滑に航行できるようお手伝いいたします。

是非一度、当事務所へご相談ください。