【プレジャーボート売買】トラブルを未然に防ぐ!海の法律家(海事代理士)が教える「失敗しない船舶売買契約書」の作り方

【プレジャーボート売買】トラブルを未然に防ぐ!海の法律家(海事代理士)が教える「失敗しない船舶売買契約書」の作り方

こんにちは。静岡県富士市で建設・産廃及び海事代理士業務を行っている行政書士・海事代理士の海野孝幸です。

先日、お客様から、「新艇・中古艇のどちらの取引でも繰り返し使える、トラブルに強い売買契約書のマスターテンプレートを作ってほしい」というご依頼をいただきました。

インターネット等で見つかる一般的な契約書のフォーマットや、簡易的な注文書だけでは、「万が一、大きなトラブルが起きて裁判になってしまったときに、本当に自社を守り切れるのか不安がある……」という企業様は少なくありません。

プレジャーボート、特に中古艇の売買は、自動車以上に引き渡し後のトラブルが発生しやすい世界です。今回は、海の法律家(海事代理士)の視点から、「ボート売買で絶対に外してはいけない注意点」と、「会社を守るための契約書の防衛策」を分かりやすく解説します。

1. プレジャーボートの売買契約書で「絶対に外せない」3つの注意点

ボートの売買において、一般的な物品(動産)の契約書をそのまま使い回すと、必ずと言っていいほどトラブルになります。プレジャーボート特有の以下のリスクを契約書でヘッジする必要があります。

① 「引渡し前」と「引渡し後」の責任の境界線を引く

中古艇の取引で最も多いのが、引き渡し直後の「エンジンが動かない」「航海計器が壊れている」というクレームです。
これを防ぐために、契約書ではタイムラインに沿って明確に責任を切り分ける必要があります。

・引渡し前: 双方立ち合いのもとで「船体検査(試運転や船底のチェック)」を行い、航行上の重
 大な欠陥があれば売主の負担で直す。

・引渡し後: 一度引き渡した後は、売主が不具合を故意に隠していた場合を除き、一切の責任を負
 わない「現状有姿(ありのままの状態)」のバリアを張る。

② 高額な「付属品(艤装品)」をリスト化する

プレジャーボートには、高額なGPS魚探、レーダー、オーニング(日よけ)、アンカー、さらにはライフジャケットなどの法定備品が多数積まれています。
「これらは価格に含まれると思っていたのに、引き渡し時に外されていた!」というトラブルは後を絶ちません。契約書には必ず「付属品目録」を別紙で添付し、どれが含まれてどれが撤去されるのかをチェックボックス形式で明確にすることがトラブルを避ける秘訣です。

③ 違約時のルールは「手付倍返し・手付放棄」

商談の途中で相手の気が変わってキャンセルになったり、代金の支払いが滞ったりした場合に備え、あらかじめ「損害賠償の予定(違約金)」を定めておきます。また、契約時に支払うお金を法律上の「手付金」として定義し、売主の違約なら倍返し、買主の違約なら没収(放棄)という明確なペナルティを課すことで、取引の安全性を高めます。

2. 「裁判・紛争リスク」への対策は?

万が一、トラブルに発展してしまった場合には、双方の話し合いで解決を試みることを規定する一方で、話し合いで解決できない泥沼の紛争に発展した場合、以下の2つの特約が会社を守る盾になります。

① 「専属的合意管轄」を自社に有利な場所に固定する

もし契約書に裁判所の指定がないと、遠方の取引相手から相手方の地元の裁判所で訴えられた際、わざわざそこまで出廷しなければならず、莫大な時間と交通費がかかります。
ですから、お客様の地元である地方裁判所を第一審の専属裁判所とすることで、万が一の際も自社から最寄りの裁判所で裁判を行うことができるようになります。

② 「弁護士費用の負担特約」を盛り込む

日本の裁判制度では、勝訴しても原則として自分の弁護士費用は自己負担となります。これを利用して、理不尽な言いがかりで提訴する悪質なケースに対抗するため、「裁判になった場合、負けた側が、勝った側の弁護士費用まで丸ごと全額負担する」という特約を組み込みます。これがあるだけで、相手方に対する非常に強い法的抑止力になります。

3. 【海事代理士の豆知識】プレジャーボートの契約書に印紙は必要?

実は、20トン未満のプレジャーボート(小型船舶)の売買契約は、印紙税法上、そもそも印紙を貼る必要がない「不課税文書」にあたります。

法律上、印紙(1号文書)が必要な「船舶の譲渡」とは、船舶法上の大型船舶を指し、プレジャーボートは「動産(物品)」扱いとなるためです。

まとめ:あなたのビジネスを守る「オーダーメイドの契約書」を

船舶の売買は時に自動車以上の高額な取引になることもあります。万が一当該船舶に不具合・不良があった場合への備えとして、売買契約書は、新艇の時はメーカー保証に委ね、中古艇の時は現状有姿のバリアを張るという、1本でどちらの取引にも繰り返し使い回せる「最強の汎用マスターテンプレート」とすることが作成時のコツといえます。

「自分が使っている注文書や契約書、本当にこれで会社を守れるのかな?」と少しでも不安を感じたプレジャーボートオーナー様や事業者様、ぜひ一度、海の法律家である海事代理士にご相談ください。あなたのビジネスを法的に支える「最強の盾」をオーダーメイドで作成いたします。

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また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。