
富士市・富士宮市で建設業を営む経営者の皆様、こんにちは。地元密着で建設業・産廃業許可及び各種海事手続きを専門にサポートしております行政書士・海事代理士の海野孝幸です。
建設業の経営を続けていく上で、避けて通れないのが「建設業許可の維持・管理」です。日々の現場や営業活動でお忙しい中、許可の期限管理や、新しい業種の追加(業種追加)、一般から特定への切り替え(般特新規)などの手続きを完璧にこなすのは、非常に大変なことだと思います。
「気づいたら許可の有効期限が迫っていた……」
「新しく業種を追加したいけれど、今の許可の期限とバラバラになって管理が面倒……」
そんなお悩みをお持ちの経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、建設業許可の「有効期間と更新」の基本ルールから、知っておくと便利な「許可の一本化制度」、そして一本化する際の意外な注意点まで、実務に役立つポイントを分かりやすく解説します。
1. 建設業許可の基本:5年の有効期間と更新のタイミング
まず大前提として、建設業許可の有効期間は「5年間」です(建設業法第3条第3項)。
許可があった日から5年目の、許可日に対応する日の前日をもって満了となります。例えば、令和8年10月7日に許可を取得した場合、有効期間は令和13年10月6日までということです(10月7日ではありません。また、有効期間満了日が役所の閉庁日(たとえば日曜日)であったとしても、その翌日まで有効期間が延期されることもありません)。もし期間が満了してしまうと、軽微な建設工事を除いて営業をする(請け負う)ことができなくなってしまいます。
引き続き建設業を営むためには、期間が満了する日の「30日前まで」に、許可を受けた時と同様の手続きで更新申請を行わなければなりません(建設業法施行規則第5条)。
もしも満了日までに審査結果(処分)が出なかったら?
「30日前までに申請したけれど、行政側の審査が長引いて、許可の満了日までに新しい許可証が届かない!」というケースを心配される方もいるかもしれません。
この点については、法律(建設業法第3条第4項)でしっかり守られています。更新申請が有効期間の満了日までに受理されていれば、万が一満了日を過ぎてしまっても、行政側から「許可」または「不許可」の処分が下されるまでの間は、従前の許可がそのまま有効であるとみなされます。そのため、審査待ちの期間であっても、これまで通り安心して工事を請け負うことができます。
もし、審査の結果として万が一「不許可」になってしまった場合でも、その不許可処分が下されるまでの間に結んだ請負契約に係る建設工事については、許可が効力を失った後であっても施工を完了させることができます(建設業法第29条の3第1項)。
2. 一般から特定(または特定から一般)への切り替え時の特例
会社の規模が大きくなり、元請として大規模な工事を発注するようになると、「一般建設業許可」から「特定建設業許可」へ切り替える必要が出てきます(これを「般特新規」と呼びます)。また、逆に「特定」から「一般」へ移行する場合も想定されます。なお、一般建設業許可と特定建設業許可については拙稿:富士市の業者が取得すべきは一般、それとも特定?建設業許可区分を徹底解説!をご参照ください。
このような切り替え(般特新規申請)を行っている最中に、現在持っている許可の有効期間が満了してしまう場合はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、この場合も「更新の申請」(法第3条第4項)とみなして取り扱われます。
具体的には、以下のようなルール(建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】7(p9))となっています。
- 一般から特定へ移行する申請中の場合
一般建設業の許可期間が満了した後、特定の許可処分が下されるまでの間は、従前の「一般建設業許可」が有効なものとして扱われます。 - 特定から一般へ移行する申請中の場合
特定建設業の許可期間が満了した後、一般の許可処分が下されるまでの間は、従前の「特定建設業許可」が有効なものとして扱われます。
このように、手続きの移行期であっても、建設業者が不利益を被って営業ができなくなるような「空白の期間」が生じないよう配慮されています。
3. 複数許可の管理を楽にする「許可の一本化」制度とは?
事業を拡大していく中で、最初は「とび・土工」だけだったけれど、後から「建築一式」や「管工事」などを追加する(業種追加)ケースはよくあります。
しかし、普通に業種追加をしていくと、それぞれの業種ごとに「許可年月日」が異なるため、「有効期間の満了日」もバラバラになってしまいます。例えば、A業種は令和8年満了、B業種は令和10年満了……という状態になると、数年ごとに何度も更新手続きをしなければならず、手間も実費(申請手数料)もその都度かかってしまいます。
このような行政事務の煩雑さや、建設業者の負担を軽減するために用意されているのが、許可の「一本化」制度です(建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】5(P9)。
一本化には、大きく分けて次の2つのパターンがあります。
① 1つの許可の更新時に、他の許可も同時に更新する
すでに複数の許可を持っている場合、そのうちの1つの許可を更新する際に、まだ有効期間が残っている他の許可についても、同時に前倒しで更新申請をすることができます。これにより、すべてをあわせて「1件の許可の更新」として同時に許可を受けることができます。
② 業種追加の申請時に、従来の許可も同時に更新する
新しく業種を追加して申請(業種追加)をする際に、現在持っている従来の許可についても同時に更新申請をすることができます。これにより、追加する許可と従来の許可の更新をあわせて「1件」として許可を受けることが可能になります。
(※ただし、追加する許可の審査期間が必要となるため、同時に更新する従来の許可の有効期間が、各行政機関の定める残存期間を満たしている必要があります。)
一本化制度(建設業許可事務ガイドライン)を積極的に利用することで、すべての業種の有効期限を同じ日に揃えることができ、その後のスケジュール管理が非常に楽になります。
4. 知っておきたい!一本化の「意外な落とし穴」と注意点
ここまで聞くと「一本化はメリットばかりだから、絶対にやったほうがいい」と思われるかもしれません。しかし、実務上、非常に重要かつ意外な注意点があります。
実は、この一本化制度は「義務」ではありません。ガイドラインでも「できるだけ利用すべきである」とされつつも、「することができる」という表現にとどまっています。
なぜ義務化されていないのか、そこには「許可年月日が変わってしまう」という大きな理由があります。
許可年月日は会社の「歴史」であり「記念日」
例えば、先代の社長の時代から何十年も「土木一式工事」の許可を維持し、営業を続けてきた事業者様がいるとします。その会社にとって、最初に許可を取得した「〇年〇月〇日」という許可年月日は、会社の信頼の証であり、歩んできた歴史そのものです。
もし、後から追加した新しい業種と「一本化」をしてしまうと、その歴史ある古い業種の許可年月日も、新しい日付(一本化した日)に変わってしまいます。
「日付が変わるだけで、許可の継続性に問題がなければいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、経営者の皆様にとっては、その日付自体が記念日のような重みを持っていることも少なくありません。また、対外的な説明や、過去の書類との整合性を重視される場合、許可年月日が変わってしまうことが大きな問題や心理的な抵抗に発展することもあります。
そのため、どのタイミングで業種追加をすべきか、そして本当に一本化をするかしないかは、単に「手続きが楽になるから」という理由だけで決めるべきではありません。会社の歴史や経営者方の意向、将来の経営計画をしっかりと踏まえた上で、慎重に判断することが極めて重要です。
建設業許可の更新や業種追加、そして一本化の手続きは、法律上の文言としてはシンプルに見えても、実務においては「知っておくべき特例」や「会社ごとの最適なタイミング」が異なります。
特に、一本化によって許可年月日が変わるデメリットなどは、事前にしっかりとした説明を受けないまま手続きを進めてしまい、後から「そんなはずではなかった」と後悔されるケースもあります。
当事務所は、富士市・富士宮市を主要営業エリアとして、地元密着で建設業許可を専門に扱っている行政書士事務所です。
- 「うちの会社の場合、いつ、どのタイミングで手続きするのが一番おトク?」
- 「現在のバラバラな許可期限をスッキリまとめたいけれど、デメリットはない?」
- 「日々の業務が忙しくて、30日前までの書類作成が間に合いそうにない……」
このようなお悩みや疑問がございましたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
静岡県(富士土木事務所など)への申請実務に精通した専門家として、建設業の皆様の会社の歴史やこれからのビジョンをしっかりとお聞きした上で、最適な手続きのプランをご提案いたします。書類作成から行政への申請、その後の期限管理まで、トータルでサポートいたします。
皆様からのご相談を、心よりお待ちしております。
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また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。港湾工事や作業船・船舶に関するお手続きも、海事代理士としてワンストップでサポート可能です。
