
こんにちは。富士市・富士宮市を中心に行政書士・海事代理士として営業している海野孝幸です。
富士市や富士宮市は、全国屈指の「ものづくりの街」です。特に富士市は、豊富で良質な地下水を活かした製紙業(パルプ・紙・紙加工品製造業)をはじめ、自動車部品、化学、食品などの製造業が非常に盛んな地域です。
日々、多くの工場や事業所から多種多様な廃棄物が排出されていますが、企業の担当者様や経営者様から「会社から出るゴミだから、すべて産業廃棄物(産廃)として処理すればいいよね?」というご質問をよくいただきます。
実は、法律上はそのように単純ではありません。事業活動から排出されても、産業廃棄物にはならないゴミ(事業系一般廃棄物)がたくさん存在します。
もし産業廃棄物と一般廃棄物の区分を間違えて処理してしまうと、廃棄物処理法(廃掃法)違反となり、不法投棄や無許可業者への委託とみなされ、厳しい罰則の対象になるリスクがあります。
そこで今回は、富士市・富士宮市で産廃・許認可を専門とする行政書士が、地域の実情に合わせ、間違えやすい「産業廃棄物の20種類」と「業種指定」、そして「複合物の判断基準」について分かりやすく解説します。
1. そもそも「産業廃棄物」とは?富士市・富士宮市で基本となる20種類
廃棄物処理法では、事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、法律で定められた「20種類」のものを産業廃棄物と定義しています(廃棄物処理法第2条第4項、廃棄物処理法施行令第2条)
まずは、どのようなものが該当するのか、富士市・富士宮市の工場や事業所でよく見られる具体例とともに見ていきましょう。
1.燃え殻:石炭がら、灰かす、焼却残灰、炉清掃排出物など
2.汚泥:工場の排水処理後や各種製造工程で生じる泥状のもの(ペーパースラッジなど)
3.廃油:工作機械の潤滑油、洗浄用油、動植物性油脂などすべての廃油
4.廃酸:廃硫酸、廃塩酸などすべての酸性廃液
5.廃アルカリ:廃ソーダ液などすべてのアルカリ性廃液
6.廃プラスチック類:梱包用ラップ、緩衝材(プチプチ・発泡スチロール)、プラスチック容器など
7.紙くず(※業種指定あり)
8.木くず(※業種指定あり)
9.繊維くず(※業種指定あり)
10.ゴムくず:天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスチック類)
11.金属くず:鉄くず、空き缶、スクラップ、ブリキ・トタンくずなど
12.ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず:ガラス類、製造過程等から生じるコンクリートくず、試作用の陶器くず、レンガくず、石膏ボードなど
13.鉱さい:電気炉等からの残さい、不良鉱石、粉灰かすなど
14.がれき類:工作物の新築・改築・解体から出るコンクリート破片、アスファルト破片など
15.ばいじん:工場の焼却施設やボイラー施設から集じん施設によって集められたもの
16.動植物性残さ(※業種指定あり)
17.動物系固形不要物(※業種指定あり)
18.動物のふん尿(※業種指定あり)
19.動物の死体(※業種指定あり)
20.13号廃棄物:上記の産業廃棄物を処分するために処理したもので、他にあてはまらないもの(コンクリート固形物など)
ここで最も重要なポイントは、「事業活動から出たゴミであっても、この20種類に該当しなければ産業廃棄物にはならない」という点です。ですから、例えば事業活動から出た、ゴミとなったクリアファイル、これって一般廃棄物として捨ててしまいがちですが、廃棄物処理法によれば産業廃棄物にあたり、同法にのっとった処理が必要ということになります。
なお、いわゆる多量排出事業者について産業廃棄物処理法は特別の運用を求めております。詳細は【富士市・富士宮市のメーカー・製紙業者様へ】うちの工場は大丈夫?産業廃棄物の「多量排出事業者」の基準と見落としがちな落とし穴を参照ください。
2. 【最重要】富士市・富士宮市の基幹産業が直面する「業種指定」の罠
先ほどの20種類のうち、リストの後半にある「※業種指定あり」と書いた7種類(紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体)には、非常に特殊なルールが設けられています。
これらは、「特定の事業活動(業種)から排出された場合のみ産業廃棄物となり、それ以外の業種から出た場合は一般廃棄物(事業系一般廃棄物)になる」というものです。
地元の主要産業を例に、具体的な違いを比較してみましょう。
① 紙くず:富士市の製紙業・紙加工業は直結!
富士市で最も気をつけるべきなのが「紙くず」の区分です。
・産業廃棄物になる場合:パルプ製造業、紙製造業、紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業などから出る、印刷くず、製本くず、裁断くずなど。また、建設業(解体工事等)から出る紙くずも産廃です。
・一般廃棄物(事業系一廃)になる場合:上記の指定業種以外のオフィス、商業施設、あるいは通常の製造業(金属加工や電子部品など)の事務部門から出るOA用紙や段ボールなどのゴミ。
つまり、富士市のペーパーテック企業や印刷工場から出る裁断くずは「産廃」ですが、他業種のオフィスから出る紙ゴミは「一般廃棄物」になります。
② 動植物性残さ:富士宮市の食品工場・フードテック企業
富士宮市に多い食品製造業や、富士市の食品コンビナートなどで問題になるのが「動植物性残さ」です。
・産業廃棄物になる場合:食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業において原料として使用した動物または植物に係る固形状の不要物(魚・獣のあら、野菜くず、油かす等)。
・一般廃棄物(事業系一廃)になる場合:レストランや居酒屋、ホテルの厨房、工場の社員食堂などから出る食べ残しや調理くず。
まったく同じ「野菜の切れ端」や「肉の残り」であっても、食品工場から出れば「産廃」、飲食店や食堂から出れば「一般廃棄物」と、法律上の扱いが真逆になります。
③ 木くず:建築・梱包資材の扱い
・産業廃棄物になる場合:建設業(工作物の新築・改築・除去)、木材・木製品製造業、家具製造業、パルプ製造業、輸入木材卸売業などから出る廃木材。
・物品の流通に使用された「パレット(木製パレット)」については、平成20年の法改正により、業種を問わずすべて産業廃棄物に分類されるようになりました。
3. 許可証の表記に惑わされないで!産廃の「呼び名」の裏側
産廃の処理を地域の処理業者(収集運搬業者や処分業者)に委託する際、必ず確認するのが「産業廃棄物処理業の許可証」です。しかし、許可証に記載されている種類を見て、「法律の名称と少し違う……」と戸惑う担当者様は少なくありません。
実は、産業廃棄物の20種類には、法律上の正式名称のほかに、環境省の通知(通達)で使われる名称や、自治体が独自に使う略称・別称が存在します。
・法律名:動物又は植物に係る固形状の不要物
→ 通知名:動植物性残さ
・法律名:工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不
要物
→ 通知名:がれき類
・法律名:ばいじん
→通知名:ダスト類
さらに、静岡県や各政令市が交付する許可証によっては、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」のことを「ガラス陶磁器くず」や「ガラスくず等」と省略して記載しているケースもあります。
これらはあくまで呼び方が違うだけで、示す中身は原則として同じです。自社のゴミが業者側の許可証のどの項目に該当するのか正しく照合するには、こうした「表記の揺れ」を理解しておく必要があります。
4. 分別できない複合ゴミはどうする?工場を悩ませる「総体(そうたい)として産廃」の判断基準
製造業の現場で最も担当者を悩ませるのが、プラスチック、金属、木などが一体となった「複合物のゴミ」です。綺麗に分別できれば問題ありませんが、現実的に分別が不可能な場合はどう判断すればよいのでしょうか。
例えば、大半がプラスチックと金属でできているものの、一部に木製の部品が使われている生産設備や什器を廃棄するとします。排出事業者が木くずの指定業種ではない場合、木の部分は「一般廃棄物」、プラスチックと金属の部分は「産業廃棄物」となり、一つのゴミの中に2つの区分が混在することになってしまいます。
実は、こうしたケースに対して、過去に環境省から重要な通知(平成14年3月8日・環廃産第142号)が出されています。
それは、倉庫に大量に不法投棄された「使用済みのパチンコ台(大部分に木枠がついたままのもの)」の扱いに関するものでした。パチンコ台の木枠は、指定業種以外から出れば本来は事業系一般廃棄物です。しかし環境省は、構成素材から判断して、大部分を占める廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず等の性質に着目し、「総体として産業廃棄物」と解して差し支えないという見解を示しました。
複数の素材からなる複合物の廃棄物は、それぞれの素材の混合物として考えるのが原則です。その上で、処理に支障が出ない程度の付着物や一部の混入物については、大部分を占める要素を基準に「総体」として産廃か一廃かを判断することがあります。なお、これらの混合廃棄物を処理委託する際の契約書には、20種類のどれに該当するか(例:廃プラ、金属くずの混合物)を明記するか、もしくは「混合廃棄物」として一括して記載することが可能です。
5. 富士市・富士宮市での産廃対策・適切な処理のために
富士市・富士宮市エリアで事業を行う上で、廃棄物の適正処理は企業の社会的信用(コンプライアンス)に直結します。
「いつもこの方法で捨てているから」「他社もそうしているから」といった思い込みは、思わぬ法律違反(無許可業者への委託など)を招く原因になります。また、古紙くずやくず鉄、あき缶、古繊維などは「専ら物(もっぱらぶつ)」に該当する可能性があり、その場合は収集運搬・処分業の許可やマニフェストの交付が不要になるケースもあります(ただし、委託契約書の締結は必要です)。
当事務所は、富士市・富士宮市を中心に、産業廃棄物処理業の許可申請(新規・更新・変更)はもちろん、排出事業者様のゴミの分別診断、適切な委託契約書の作成サポート、マニフェスト管理のアドバイスまで、産廃に関する実務をトータルでサポートしております。
・「自社から出るこのゴミは、産廃と一廃のどちらに該当するのか分からない」
・「処理業者と交わしている委託契約書の内容が、今の法律に適合しているか不安」
・「産廃の許可を取りたいが、要件を満たしているか確認してほしい」
地元の産業・事情を熟知した専門家が、貴社のリスクをゼロにし、スムーズな事業運営をお手伝いします。まずは一度、お気軽にご相談ください(初回ご相談無料)。
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また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。
