【富士市・富士宮市のメーカー・製紙業者様へ】うちの工場は大丈夫?産業廃棄物の「多量排出事業者」の基準と見落としがちな落とし穴

【富士市・富士宮市のメーカー・製紙業者様へ】うちの工場は大丈夫?産業廃棄物の「多量排出事業者」の基準と見落としがちな落とし穴

富士市・富士宮市多量排出事業者について(行政書士・海事代理士海野孝幸)

こんにちは。富士市・富士宮市を中心に建設・産廃及び海事手続きを行っている行政書士・海事代理士の海野孝幸です。

富士市は、富士山の豊かな伏流水に恵まれ、古くから製紙業を中心に発展してきた「ものづくりの街」です。数多くの工場や事業所が日々、日本の産業を支える製品を生産しています。

しかし、ものづくりが盛んな街だからこそ、切っても切り離せないのが「産業廃棄物(産廃)」の管理問題です。

工場を運営されている経営者様や総務・環境担当者の皆様、自社が廃棄物処理法における「多量排出事業者」に該当しているかどうか、正確に把握されていますでしょうか。「うちは中小企業だから関係ない」「処理業者に任せているから大丈夫」と思い込んでいると、思わぬ法令違反(コンプライアンス違反)に問われてしまうリスクがあります。

今回は、産廃を専門とする行政書士が、富士市の事業者が特に注意すべき「多量排出事業者」の制度と、実務上で非常によくある「落とし穴」について分かりやすく解説します。

1. 産業廃棄物の60%は、わずか「1%弱」の事業場から出ている

日本の産業全体から排出される産業廃棄物の量は膨大ですが、実はそのうちの約60%が、全体のわずか1%に満たない一部の事業場(工場や現場など)から排出されていると言われています。

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の趣旨は、「廃棄物の排出抑制」と「適正な処理」です(廃棄物処理法第1条)。そのため、国や自治体は、大量に廃棄物を出す事業者を特にピンポイントで管理し、減量に向けた自主的な取り組みを促す仕組みを設けています。これが「多量排出事業者」に対する法的義務化の背景にあります。

2. 「多量排出事業者」に該当する基準とは?

では、どのような事業者が「多量排出事業者」に該当するのでしょうか。基準は、前年度(4月1日~翌年3月31日)の1年間において、1つの「事業場ごと」に排出した量で判断されます。1社(ひとつの排出事業者)ではない点に注意が必要です。

具体的には、以下の基準のいずれか、あるいは両方に該当した場合に対象となります。

・普通産業廃棄物:年間発生量が 1,000トン以上(法第12条第9項、同法施行令第6条の3)

・特別管理産業廃棄物:年間発生量が 50トン以上(法第12条の2第10項、施行令第6条の7)

ここで重要なのは、産業廃棄物(普通産廃)と、爆発性や毒性のある特別管理産業廃棄物(特管産廃)は、それぞれ「別々に」判断されるという点です(普通産業廃棄物と特別管理産業廃棄物のそれぞれの解説は拙稿:【富士市・富士宮市】そのゴミ、本当に「産業廃棄物」ですか?製紙業・製造業が間違えやすい20種類と業種指定の判断基準を解説、および【富士市・富士宮市】そのゴミ、実は特管かも?特別管理産業廃棄物の基礎知識と注意点を専門行政書士が解説をご参照ください。

例えば、製紙工場で普通産廃が年間1,200トン、特管産廃が年間60トン発生した場合、両方の基準で多量排出事業者に該当することになります。この場合、後述する書類をそれぞれ別々に作成し、提出しなければなりません。

また、企業のトータル排出量ではなく「事業場ごと(工場ごと、現場ごと)」にカウントされるため、富士市内に複数の自社工場がある場合は、工場ごとに発生量を計算する必要があります(※ただし建設業の場合は、現場を総括管理する支店等の単位で判断する特例があります)。

3. プロでも間違える!知っておきたい「発生量」の落とし穴

「うちの工場は、産廃業者に引き渡している量が年間800トンだから、1,000トン未満だし関係ないな」

そう判断された方は、今すぐ確認が必要です。ここに最大の「落とし穴」があります。

多量排出事業者の判断基準となる「発生量」とは、廃棄物が発生した時点の、何らの操作(処理)も加えていない量を指します。

富士市の製紙業や製造業の工場では、発生した廃棄物を自社内の設備で「圧縮」したり、水分を抜く「脱水」や「乾燥」をさせてから、容積や重量を減らして(減容化して)産廃業者に引き渡すケースが非常に多く見られます。

しかし、法律上は「圧縮や脱水などの処理を行う前の量」で測定しなければなりません。
仮に、脱水・乾燥した後のマニフェスト上の引き渡し量が「800トン」であっても、脱水する前の元の発生量が「1,200トン」であれば、その工場は立派な「多量排出事業者」に該当します。

この発生時点の量を正確に把握していないために、無自覚のまま義務を怠ってしまうケースが後を絶ちません。自社の廃棄物フローが「どの段階で計量されているか」を必ずチェックしてください。

4. 該当した場合の義務:スケジュールと厳しい罰則

前年度の実績で多量排出事業者に該当した場合、事業者は「産業廃棄物処理計画書」を期日までに自治体へ提出しなければなりません。さらに、その翌年には計画がどう実行されたかの「実施状況報告書」の提出も義務付けられます。

タイムラインは以下の通り非常にタイトです。

・【該当した年の4月1日~6月30日】:「廃棄物処理計画書」の提出(施行規則第8条の4の5)
                               (施行規則第8条の17の2)

・【その翌年の4月1日~6月30日】:「実施状況報告書」の提出(施行規則第8条の4の6)
                             (施行規則第8条の17の3)

もし、継続して毎年多くの廃棄物を出す場合は、毎年「当年度の計画書」と「前年度の報告書」をセットで提出し続ける必要があります。なお、これらは企業の決算期がいつであるかは一切関係なく、一律で「6月30日締め」となります。

【忘れた場合のペナルティ】

これら計画書や報告書の提出を行わなかったり、虚偽の報告をした場合、「20万円以下の過料」に処される対象となります(廃棄物処理法第33条第2号)。
過料は行政罰であり刑罰にはあたりません(同じ「かりょう」と発音する刑罰である「科料」とは異なります)。しかし、過料の金銭的負担の他、それ以上に「環境法令に違反した企業」として企業の社会的信用やブランドイメージが失墜するリスクの方が、メーカーにとっては致命傷になり得ます。

5. 富士市の事業者の提出先はどこ?

多量排出事業者の書類は、事業場のある都道府県知事等に提出します。
静岡県内の政令指定都市である「静岡市」や「浜松市」に工場がある場合はそれぞれの市役所が提出先になりますが、「富士市」に事業場がある場合は、静岡県(知事)が提出先となります。

実務上、静岡県ではインターネットを利用した電子申請(ふじのくに電子申請サービス等)による提出を推奨しており、提出された計画書等は県のホームページ上で一般に公表される仕組みになっています。

6. 前々年度の実績も関係する!「電子マニフェスト」の利用義務

多量排出事業者に関連して、もう一つ忘れてはならないのが「電子マニフェストの利用義務化」です。

前々年度における特別管理産業廃棄物の発生量が年50トン以上の場合、電子マニフェスト(JWNET)の利用が義務付けられます。

まとめ

当事務所は、富士市の製造業・製紙業の皆様を法的側面からサポートします。計画書作成や該当性チェックなどでお困りの際はお気軽にご相談ください。

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【当事務所の対応エリアについて】
当事務所は、富士市・富士宮市を中心に、沼津市、三島市、静岡市清水区など静岡県東部・中部全域の建設業・産廃業許可をサポートしています。「ウチの地域まで来てくれるかな?」と思われた方も、どうぞお気軽にご相談ください。初回ご相談無料で承ります。
また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。