静岡の多店舗展開企業は必見!建設業許可で支店が「無許可営業」になる罠

静岡の多店舗展開企業は必見!建設業許可で支店が「無許可営業」になる罠

富士市・富士宮市の建設業許可における無許可営業の罠。行政書士・海事代理士海野孝幸

静岡県の建設業の皆様、こんにちは!富士市・富士宮市を中心に建設業、産廃業及び海事手続きを専門にサポートしている行政書士・海事代理士の海野孝幸です。

「建設業許可を取れば、これまで以上に大きな金額の工事を受注できるようになって、一気に売上アップを目指せる!」

そう考えて、許可の取得に向けて準備を進めている経営者の方はとても多いですし、事業を大きくしていくためには大正解のステップです。

でも実は、建設業法という法律には、真面目な社長ほど引っかかりやすい、まさかの「落とし穴」があるのをご存知でしょうか?

それは、「良かれと思って本社で建設業許可を取ったら、他の支店や営業所の身動きが取れなくなり、今まで普通にできていた小さな工事(軽微な工事)すらできなくなってしまった…」という、恐ろしい逆転現象です。

「えっ、許可がいらないはずの工事なのに、なんでできなくなるの!?」とびっくりされた方も多いはず。今回は、富士市の事業者様にもよくある具体的なお話を交えながら、この意外な法律の罠について分かりやすく解説します!

【よくある事例】沼津や静岡の支店で「今まで通り」は通じない?

イメージしやすいように、富士市に本社がある内装工事の会社を例に考えてみましょう。

この会社は、富士本社だけでなく、東部エリアの拠点として「沼津支店」、中部エリアの拠点として「静岡支店」の3拠点で元気に営業していました。これまでは建設業許可を持っていませんでしたが、各本支店で500万円未満(建築一式工事を除く)の「軽微な工事(内装)」をコツコツ請け負っていました。許可がなくても、500万円未満の工事なら法律上まったく問題ありません(建設業法第3条第1項但書、建設業法施行令第1条の2)。

業績も順調に伸びてきたので、社長は「よし、もっと大きな内装工事もバンバン受注できるようにしよう!」と一念発起。まずは富士本社を「主たる営業所」として、静岡県知事から内装工事業の建設業許可を取得することにしました。

一方で、沼津支店と静岡支店については、法律で義務付けられている「専任技術者(資格を持った人など)」を常駐させることが人員不足で難しかったため、今回の許可申請からは外すことにしました(なお、専任技術者については拙稿:【富士市】建設業許可の営業所技術者要件と現場兼任ルールを行政書士が解説を参照ください)。

社長はこう考えました。
「富士本社では大きな工事をガッツリ請け負って、沼津と静岡の支店は今まで通り500万円未満の小さな工事だけを細々とやっていれば問題ないよね!」

ステップアップとしては完璧な計画に見えますよね。しかし、これこそが建設業法の最大の罠なのです。

結論から言うと、富士本社で内装工事業の許可を取ったその日から、沼津支店と静岡支店では、たとえ10万円の軽微な工事であっても、内装工事の請負契約を結ぶことが一切できなくなります。

なぜ?小さな工事すらダメになる理由

「許可がいらないはずの軽微な工事なのに、なんで支店でやっちゃダメなの?」と疑問に思いますよね。

このルールの根拠は、国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン(第3条関係、P8)」にハッキリと書かれています。国交省のスタンスを一言でいうと、こうです。

「会社として建設業許可を取ったなら、その会社にあるすべての支店や営業所は、たとえ小さな工事しかしない場所であっても、ぜんぶ『許可業者の営業所』として扱います!」

つまり、会社が一度「内装工事業の許可業者」になった以上、「うちの支店は許可の届け出をしていないから、関係ないよ〜」という言い訳は通用しないのです。ガイドラインや国交省の過去の回答(法令適用事前確認手続:NAL手続き(ノーアクションレター制度)など)でも、「軽微な工事しかしない営業所であっても、専任技術者を置いて正式に営業所の届け出をしなさい」と明確に否定されています。

ここで、一つ大事なポイントがあります。
ダメと言われているのは、あくまで沼津支店や静岡支店が窓口になって見積もりを出したり、契約書を交わしたりする「営業行為」です。富士本社で適法に受注した工事を、沼津や静岡のスタッフが現場に行って「施工(工事)」すること自体は、全国どこであっても全く問題ありません。ここを混同しないようにしてください。

また、本稿の事例では富士市に本社、沼津市と静岡市に営業所を置くという設定であり、同一都道府県内に複数の拠点を設けるということになり、この場合は静岡県知事の許可を取得すれば足ります。しかし、例えば富士市に本社を置き、神奈川県内に営業所を置きたいとなった場合には、知事許可ではなく国土交通大臣の許可を要する点もご留意ください。

知らずに営業を続けるとどうなる?(まさかのペナルティ)

もしこのルールを知らないまま、「沼津支店長の名前で、300万円の内装工事を受注しちゃった!」ということが起きるとどうなるでしょうか。

国交省の相談ダイヤルなどの見解では、これは明確に建設業法第3条違反(無許可営業)に該当するとされています。「小さな工事だから大丈夫」と思っていても、法律違反になってしまうのです。

違反となれば、行政処分や罰則の対象になります。最悪の場合、せっかく苦労して取った富士本社の許可が取り消されてしまうなんていう、目も当てられない事態になりかねません。「知らなかった」では済まされないのが、法律の怖いところです。

ただし、許可を取った業種「以外」の軽微な工事なら、届け出のない支店でも行えます。今回の場合、会社が取ったのは「内装工事業」の許可だけなので、沼津や静岡の支店で「塗装工事」や「防水工事」などの軽微な工事(500万円未満)を請け負うのは、これまで通りセーフです!

失敗しないための「3つの対策」

せっかくの許可取得が足かせにならないために、経営者が取れるアプローチは主に3つあります。

1.すべての支店に技術者を置いて届け出る

沼津も静岡も正式な営業所にしてしまえば、どこでも大口工事・小口工事が受けられます。ただし、拠点ごとに専任技術者を常駐させる必要があるので、人材確保のハードルは高めです。

2.契約の窓口を「富士本社」に一本化する

支店での営業・契約行為を一切やめて、見積もりや契約書の作成はすべて富士本社に集約します。支店は「工事の段取りや職人さんの休憩所(連絡所)」という位置づけにすれば、法律違反をスッキリ回避できます。

3.中長期の経営計画をしっかり立てる

「許可を取れば仕事が増える」と焦って動くのではなく、自社の人材状況を見極めながら、「まずは本社だけ窓口にして、3年後に沼津支店にも人を置いて正式に営業所にしよう」といった計画的なステップアップが大切です。

まとめ:富士市・富士宮市の建設業許可はお任せください!

建設業許可は、ただ書類を書いて出すだけの簡単なものではありません。許可を取った後、自社の今のビジネスや拠点の動きにどんな影響が出るのかまで見据えておかないと、思わぬ落とし穴にはまってしまいます。

だからこそ、申請前の「現状分析」と「これからのシミュレーション」がとっても大切です。

当事務所では、富士市を中心に、静岡県内の建設業界の皆様が安心して本業に集中できるよう、親身になってサポートしています。「うちは今の体制で許可を取っても大丈夫かな?」「支店の運営で迷っている」という経営者の皆様、ぜひお気軽に雑談がてらご相談ください。

二人三脚で、貴社の事業を安全に、そして大きく伸ばすお手伝いをいたします!

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【当事務所の対応エリアについて】
当事務所は、富士市・富士宮市を中心に、沼津市、三島市、静岡市清水区など静岡県東部・中部全域の建設業・産廃業許可をサポートしています。「ウチの地域まで来てくれるかな?」と思われた方も、どうぞお気軽にご相談ください。初回ご相談無料で承ります。
また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。