
こんにちは。富士市・富士宮市を中心に、企業の許認可手続きやコンプライアンス体制の構築をサポートしている行政書士・海事代理士の海野孝幸です。
富士市・富士宮市といえば、日本有数の「ものづくりの街」です。製紙工場をはじめ、自動車部品、化学、食品など、多種多様な製造業(メーカー)の工場が立ち並んでいます。また、それらの産業を支える産業廃棄物処理業の皆様も、地域経済に欠かせない重要な役割を担っています。
さて、製造業の経営者様や総務・環境担当の皆様、あるいは産廃業者の皆様にお尋ねします。
「同じ敷地内にあるグループ会社(子会社など)の産業廃棄物、親会社名義の契約書でまとめて処分業者に委託していませんか?」
「同じ敷地だし、ゴミ箱も一緒だし、社長も同じだから大丈夫だろう」
もしそう思われているなら、非常に危険です。実はこれ、廃棄物処理法(廃掃法)違反に問われる可能性が高い、実務で本当によくある「勘違い」の一つなのです。
今回は、お預かりした資料をベースに、意外と知られていない「排出事業者の単位」の正しい考え方と、地元の事業者が今すぐ確認すべきポイントを分かりやすく解説します。
1. 廃棄物処理法の基本:「排出事業者」は法人単位
廃棄物処理法では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定めています(法第11条第1項)。
この「事業者」とは、一般的に法人(株式会社など)や個人事業主のことを指します。ここで最も重要なのは、「たとえ親子会社やグループ会社の関係であっても、法人格(会社の登記)が異なれば、法律上は完全に『別の事業者』として扱われる」という点です。
これを勘違いして、グループの代表企業がまとめて処理業者と契約を結んでしまうと、契約を結んでいない子会社は「他人の廃棄物を無許可で他人に処理委託した」ことになり、法律違反(委託基準違反など)になってしまうのです。
当事務所で公開する記事に関しては可能な限り根拠法令をお示ししているのですが、実は本稿で解説している内容、明確に廃棄物処理法上の規定はありません。しかし、行政の解釈・運用上、こう扱われています。
2. 図解でスッキリ!「同じ敷地」と「別々の敷地」の違い
では、具体的にどのようなケースがOKで、どのようなケースがNGなのか、パターンに分けて見ていきましょう。
【ケースA】同じ敷地内のグループ会社(別法人)の場合 ⇒ ❌一括契約はNG!
- 状況: 富士市内の同じ敷地の中に、A社(親会社)とB社(子会社)の工場・事務所がある。同じ保管場所から、同じような廃プラスチックや紙くずが排出される。
- 間違えやすい対応: 「まとめてA社の名義で処理業者と委託契約を結ぶ」。
- 正しい対応: A社、B社がそれぞれ別々に処理業者と「産業廃棄物処理委託契約」を締結しなければなりません。
同じ場所から出るからといって、契約を一つにまとめることは法律上認められません。実務上は、ゴミ置き場(保管場所)の中でも「ここからはA社、ここからはB社」と区別できるようにし、マニフェスト(産業廃棄物管理票)もA社・B社がそれぞれ発行するのが望ましい姿です。
【ケースB】違う敷地にある自社の複数工場(同一法人)の場合 ⇒ ⭕一括契約でOK!
- 状況: A社(同じ法人)が、富士市に「大渕工場」、富士宮市に「山宮工場」という2つの事業場を持っている。
- 正しい対応: 同じ処理業者に委託する場合、1つの契約書の中に両方の工場の内容をまとめて締結することができます。
こちらは敷地が離れていても、法人格が「A社」という1つの単位であるため、契約をまとめることが可能です。
(※ただし、産業廃棄物処理計画書などの行政への報告書は、事業場(工場)ごとに提出が必要な場合もありますので注意が必要です)
ケースAとケースBをそれぞれ図示すると下記のようになります。

3. もし間違っていたらどうなる?恐ろしい「違反リスク」
「悪気はなかったし、実態として同じグループなんだから、大目に見てくれるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、廃棄物処理法は非常に罰則が厳しい法律です。
もし、別法人である子会社の廃棄物を親会社の名義で委託していた場合、「委託基準違反」や、最悪の場合は「無許可の廃棄物収集運搬・処分(他人のゴミを勝手に扱った扱い)」とみなされ、厳しい行政処分や刑事罰(懲役や罰金)の対象になるリスクがあります。
特に富士・富士宮エリアの製造業の皆様は、大手企業との取引や環境ISO(ISO14001)を取得されているケースも多いかと思います。万が一、コンプライアンス違反が発覚すれば、企業の社会的信用は失墜し、取引停止などの大打撃を受けかねません。
また、排出事業者から委託を受ける産業廃棄物処理業者の皆様にとっても、これは他人事ではありません。「おなじみのA社さんだから」と、B社分の廃棄物をA社のマニフェストだけで受け取っていると、処理業者側も巻き込まれて処分を受けるリスクがあります。
4. まとめ:まずは「現在の契約書」の確認を!
今回のポイントをまとめます。
- グループ会社でも、法人格が違えば「別々の排出事業者」
- 同じ敷地、同じゴミ置き場でも、会社ごとに個別の委託契約・マニフェストが必要
- 同じ会社(同一法人)なら、富士・富士宮など別々の工場分を1つの契約にまとめてOK
まずは自社の工場敷地内を見回してみてください。「別法人の関連会社や子会社が入っていないか?」「その会社の産廃契約は、その会社自身の名義になっているか?」を確認することが、コンプライアンスの一歩です。
「うちの今の契約、本当に大丈夫かな?」
「保管場所の分け方やマニフェストの運用に不安がある」
「新しくグループ会社を立ち上げるので、産廃周りの手続きを整理したい」
そんなときは、ぜひ地元の法務の専門家である行政書士にご相談ください。
当事務所では、富士市・富士宮市の製造業・産廃業の皆様が、安心して本業に集中できるよう、廃棄物処理法に基づく各種手続きや、契約書・体制のリーガルチェックを行っております。
まずはお気軽にお問い合わせください。地域の産業を、法律の面からしっかりとサポートいたします!
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また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。
