
富士市・富士宮市の産業を支える製紙業や製造業の皆様、日々のお仕事お疲れ様です。富士市・富士宮市を中心に営業する行政書士・海事代理士の海野孝幸です。
この地域は、トイレットペーパーや段ボールなどの紙製品から、自動車部品、精密機械にいたるまで、高度なものづくりが集積する日本屈指の製造業の街です。
こうした製造現場で、切っても切り離せないのが「産業廃棄物(産廃)」の処理問題です。
「うちの工場から出るゴミだから、うちの責任で処理している」
そう思われている経営者や担当者の方は多いかと思います。しかし、それが「OEM(相手先ブランド名製造)」や「受託加工」、あるいは「原材料を預かっての生産」だった場合、その産廃の責任はいったい誰にあるのでしょうか。
実は、廃棄物処理法における「排出事業者(=産廃の処理責任を負う者)」の特定は、取引の形態によって非常に複雑になるケースがあります。今回は、産廃を専門とする行政書士の視点から、富士・富士宮の製造業・製紙業の皆様が足元をすくわれがちな「排出事業者責任の落とし穴」について分かりやすく解説します。
1. そもそも「排出事業者責任」とは?(おさらい)
廃棄物処理法の第3条第1項には、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定められています。これが「排出事業者責任」です。
重要なのは、この責任の範囲が「ゴミをゴミ箱に入れた時」や「収集運搬業者に引き渡した時(中間処理まで)」ではない、という点です。法律上、排出事業者が負う責任は、廃棄物の「発生から最終処分の終了まで」の一連の行程すべてに及びます。
自社で処理できない場合は他社に委託することになりますが、その際も「正しい許可を持つ業者を選んでいるか」「事前に書面で委託契約を締結しているか」「都度マニフェスト(管理票)を正しく交付・管理しているか」が厳しく問われます。万が一、委託した業者が不法投棄などの不正を行った場合、責任の追及やブランドイメージの失墜という形で、最終的なリスクを背負うのは他ならぬ「排出事業者」なのです。
では、製造工程が複雑な場合、誰がその「排出事業者」になるのでしょうか。よくある2つのケースを見ていきましょう。
2. 【ケース1】OEM生産や受託加工:責任は「作った側」か「頼んだ側」か?
富士・富士宮市内の製紙加工会社や金属加工会社では、大手メーカー(販売者)からブランド名や仕様の指定を受けて製品を製造する「OEM生産」や「受託加工」が日常的に行われています。
この製造工程で発生する紙くず、プラスチックくず、金属くずなどの産廃は、どちらの責任になるのでしょうか。
原則は「実際に手を動かしてゴミを出した者」
廃棄物処理法における排出事業者の原則的な考え方は、「実際に廃棄物を排出する業務を行っている者」です。
一般的なOEM生産において、地元の製造工場が材料の調達から製品の完成・納品までを自らの責任で行っている場合、製造工程から出る廃棄物の排出事業者は「製造者(作った側)」となります。たとえ、完成した製品に発注元のロゴやブランド名が入っていたとしても、ゴミを出したのは工場であるため、工場側に処理責任(契約・マニフェスト交付など)が生じます。
例外:「廃棄の決定権」が発注元にある場合
ただし、以下のような特殊なケースでは、発注元(頼んだ側)が排出事業者となることも考えられます。
・発注元からすべての原材料や仕様部品が「支給」されている
・余った材料や、製造工程で出た端材・不合格品の「所有権」が発注元に帰属している
・それらを廃棄するかどうかの「最終的な判断(決定権)」を発注元が握っている
このように、単に製造作業だけを請け負っており、物の所有権や処分権が一切ない場合は、発注元が排出事業者として産廃手続きを行う必要があります。
ブランドイメージ低下という「見えないリスク」
もし法律上の排出事業者が「地元の製造工場」であったとしても、発注元(販売者)側も他人事ではありません。万が一、製造工場が委託した産廃業者が不適正処理を起こした場合、不法投棄現場から「大手販売者のロゴが入った紙くずやパッケージ」が見つかるケースがあります。
これにより、法的な罰則は受けずとも、販売者側のブランドイメージが致命的な打撃を受けるリスクがあります。そのため、発注元企業であっても、製造工場の産廃管理体制を把握しておくことが、現代のサプライチェーンマネジメント(CSR)において極めて重要になっています。
3. 【ケース2】原材料の預かり・倉庫保管:期限切れや不良品になったら?
次に、富士・富士宮市内の物流倉庫や、工場の資材置き場によくあるケースです。
例えば、発注元(食品メーカーや化学製品メーカーなど)から製品や原材料の保管を委託されている倉庫業者がいたとします。市場の動向や仕様変更などにより、倉庫内に長期間保管されていた製品が「賞味期限切れ」や「型落ちの不良品」となり、そのまま廃棄せざるを得なくなった場合、誰が排出事業者になるでしょうか。
保管場所は倉庫でも、責任は「所有者」にある
この場合、廃棄物が現実に置かれている場所は「倉庫業者」の敷地内です。しかし、その製品や原材料の「所有権」を持ち、それを「廃棄する」という経営判断を下すのは、荷主である「発注元メーカー」です。
したがって、このケースでの排出事業者は「発注元メーカー(預け主)」となります。
倉庫業者が日々の在庫管理や期限管理を請け負っていたとしても、勝手に捨てる権限がない以上、倉庫業者が排出事業者になることはありません。発注元メーカーが排出事業者として、産廃業者と契約を結び、マニフェストを発行しなければなりません。
4. 【ケース3】製紙・紙加工の受託(OEM):裁断端材(紙くず)やスラッジはどちらの責任?
富士・富士宮市内の紙加工会社や製紙会社では、大手製紙メーカーや販売元から原紙(ロール紙)の支給を受け、指定のサイズに裁断(スリッター加工)したり、パッケージ用に型抜きしたりする受託製造・加工が日常的に行われています。
この加工工程で必ず発生するのが、多量の「紙くず(端材)」や、設備の洗浄等に伴う「ペーパースラッジ(排水泥)」です。これらはどちらの責任で処理すべきでしょうか。
原則は「加工を行った地元の工場」が排出事業者
廃棄物処理法では、実際に手を動かしてゴミを出した者が原則となるため、発注元からロール紙を預かって加工している場合でも、そこから出た「紙くず」や「ペーパースラッジ」の排出事業者は地元の紙加工会社(受託側)になります。自社の責任で産廃契約を結び、マニフェストを管理しなければなりません。
例外:「発注元」が排出事業者になるケース
ただし、原紙だけでなく、加工時に発生する端材(紙くず)もすべて発注元の所有物(資産)として管理されており、その「紙くず」を古紙ルートで回収・再利用する(または廃棄する)決定権がすべて発注元にある、という契約・実態になっている場合は、発注元(委託側)が排出事業者となります。
ここに注意!「紙くず」と「ペーパースラッジ」で変わる区分
製紙業界で特に注意が必要なのが、廃棄物の「品目(区分)」です。
紙くず: 建設業や製本業、紙製造業(紙加工含む)など、特定の業種から出る場合のみ「産業廃棄物」となり、それ以外は「事業系一般廃棄物(一廃)」になります(廃棄物処理法第2条第4項第1号、廃棄物処理法施行令第2条第1項)。
ペーパースラッジ: 業種を問わず、一律で産業廃棄物の「汚泥」に分類されます。
受託加工であっても、自社がどちらの品目を、どういった契約形態で排出しているのかを明確に整理しておかないと、「一廃だと思っていたものが実は産廃(法律違反)だった」「委託契約書の品目記載が間違っていた」といったコンプライアンス違反を招く原因になります。
5. トラブルを未然に防ぐ!製造業・製紙業が今すぐ取るべき対策
「どちらが排出事業者か」が曖昧なまま、慣例で処理を続けていると、行政指導の対象になったり、業者との間で責任の擦り付け合いに発展したりするリスクがあります。これらを防ぐために、以下の3つの対策を推奨します。
- 基本契約書での「処理責任の所在」の明文化
OEM契約や受託加工契約、倉庫保管契約を締結する際、「製造工程から発生する廃棄物、および不合格品の処理責任と費用負担はどちらに帰属するか」を契約書の中に明記しておきましょう。法律上の原則論をベースにしつつ、実態に合わせた合意を文書に残すことが最重要です。 - 「支給品」と「自社調達品」のフローの整理
自社工場内で、どのラインのゴミが「支給品由来(所有権が他社にあるもの)」で、どれが「自社調材由来」なのかを明確に区別し、産廃の分別やマニフェストの発行漏れがないよう社
内ルールを整備します。 - 定期的な委託先(産廃業者)の現地確認
自社が 排出事業者となる場合は、任せきりにせず、年に1回などは処分業者の工場を現地確認(処理状況の確認)しましょう。法律上は努力義務ですが、優良な製造企業としての社会的責任を果たす上で欠かせないアクションです
6.まとめ:富士市・富士宮市の産廃管理は、専門の行政書士にお任せください
産業廃棄物の法律(廃棄物処理法)は、毎年のように厳罰化や法改正が進んでおり、非常に複雑です。特に富士市・富士宮市のように、多様な製造業や製紙業、加工業が絡み合う地域では、「自社のケースはどう判断すればいいのか」と頭を悩ませる経営者様・環境担当者様も多いかと思います。
当事務所は、富士・富士宮地域の製造業・製紙業の皆様のビジネスに寄り添う、産廃専門の行政書士事務所です。
「現在の取引スキームにおける排出事業者の判定」から、「産廃許可の新規取得・更新」「適切な委託契約書の作成サポート」「社内コンプライアンス体制の構築」まで、現場の実態に合わせた具体的な解決策をご提案いたします。
「うちの産廃処理、このままで大丈夫かな?」と少しでも不安を感じられたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。地元のものづくり産業の信頼を守るパートナーとして、全力でサポートいたします。
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【当事務所の対応エリアについて】
当事務所は、富士市・富士宮市を中心に、沼津市、三島市、静岡市清水区など静岡県東部・中部全域の建設業・産廃業許可をサポートしています。「ウチの地域まで来てくれるかな?」と思われた方も、どうぞお気軽にご相談ください。初回ご相談無料で承ります。
また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。
