
富士市・富士宮市を中心に、静岡県内で建設業許可のサポートをしております、行政書士・海事代理士の海野孝幸です。
前回(拙稿:【富士市】建設業許可の営業所技術者要件と現場兼任ルールを行政書士が解説)の記事では、一般建設業許可における「営業所技術者(旧・専任技術者)」の要件や、最新の現場兼任ルールについて解説しました。
今回は、さらに規模の大きな工事を元請として受注するために必要となる「特定建設業許可」の営業所技術者(営業所技術者要件)について解説します。
(なお、特定建設業については拙稿:富士市の業者が取得すべきは一般、それとも特定?建設業許可区分を徹底解説!を参照ください)。
一般建設業許可に比べて、特定建設業の技術者要件はハードルがケタ違いに高くなります。「自社の社員の資格で特定が取れるのか?」「資格がない場合の実務経験はどう証明するのか?」とお悩みの経営者様は、ぜひ参考にしてください。
1.特定建設業の「営業所技術者」が一般と違う2つの壁
特定建設業許可とは、発注者から直接請け負う工事(元請工事)で、下請代金の総額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結して工事を施工する場合に必要な許可です。
動く金額が大きいため、営業所に配置する技術者にも、一般建設業とは比較にならないほど厳しい要件(壁)が課せられています。
壁①:使える国家資格が「1級(または一級建築士など)」に限定される
一般建設業では「2級」の施工管理技士でも技術者になれましたが、特定建設業では原則として「1級」の国家資格者、または一級建築士、技術士などの上位資格者でなければ認められません。
壁②:資格がない場合は「指導監督的実務経験」が必要
もし指定の1級資格を持っていない場合、単に「10年間現場を経験しました」というだけでは特定建設業の技術者にはなれません。一般の10年実務経験に加え、さらに「指導監督的な実務経験」という特殊な実績を書類で証明する必要があります。
2.資格がない場合の救済処置「指導監督的実務経験」とは?
社内に1級資格者がいない場合、特定建設業の営業所技術者になるには以下の2つのステップを両方ともクリアしなければなりません。
1.一般建設業の技術者要件を満たしていること
(10年以上の実務経験、または指定学科卒業+実務経験)
2.さらに、通算2年以上の「指導監督的実務経験」があること
指導監督的実務経験の具体的な条件
この「指導監督的実務経験」とは、具体的には以下の条件をすべて満たす経験のことです。
・元請としての経験であること(下請としての経験はカウントできません)
・工事1件の請負代金が4,500万円以上の大規模工事であること(建設業法施行令第5条の3)
・発注者から直接請け負った工事において、設計や施工の全般にわたり、下請業者を指導・監督し
た立場(現場監督や監理技術者など)の経験が通算2年以上(24ヶ月以上)あること
3.実務経験での特定申請に立ちはだかる「指定7業種」の禁止ルール
実務経験(指導監督的実務経験)を使って特定建設業許可を取ろうとする際、最も注意しなければならないのが「指定7業種」の壁です。
建設業法により、以下の7つの業種については、どれだけ豊富な実務経験や指導実績があっても、実務経験による特定建設業の営業所技術者になることは一切認められていません。
指定7業種:
・土木工事業
・建築工事業
・電気工事業
・管工事業
・鋼構造物工事業
・舗装工事業
・造園工事業
これらの業種で特定建設業許可を取得するためには、必ず「1級の国家資格者」または「技術士」を営業所技術者として配置しなければならないという絶対的なルールがあります。富士市でも、公共工事の元請を目指す土木や建築の業者様は、このルールのために1級資格者の採用や育成に力を入れています。
なぜこの7業種はこんなにも厳しいの?
一言で言えば、「この7業種は、万が一欠陥があった場合の社会への損害が大きすぎるため、経験則(指導監督経験)による代替を一切認めず、国家資格(1級資格者等)という客観的かつ厳格な基準しか認めない」という趣旨です。
深掘り解説:3つの本質的理由
1.究極の「公衆安全」への配慮
土木、建築、電気などは、橋、ビル、道路、発電インフラなど不特定多数の「命」に関わる構造物を作ります。
・1つの施工ミスが、大事故や甚大な社会混乱に直結します。
・そのため、特定建設業(発注者から直接請け負う元請)のトップ技術者には、最高峰の安全担保
が義務づけられます。
2.「指導監督経験」の客観性と担保の限界
指導監督経験(元請として4,500万円以上の工事で2年以上の実務経験)は、証明書類(契約書や請書)があれば行政上は成立します。
・しかし、「本当にその人に1級レベルの高度な技術力や管理能力があるか」を客観的に証明するの
は困難です。
・指定7業種においては、そのような「個人の経験の解釈」に頼るリスクを排除し、国家試験とい
う同一基準をクリアした「1級保持者」のみに限定することで、技術水準を一律に高く保ってい
るのです。
3.「指定建設業制度」との連動(法的な一貫性)
建設業法上、この7業種は「指定建設業」として施工現場の監理技術者(元請)も1級資格者等でなければならないと厳格に定められています。
・現場(監理技術者)に1級が必須なのに、その現場を統括・指導する営業所の専任技術者が「指
導監督経験(資格なし)」で済むのは、法のロジックとして矛盾します。営業所の技術者が現場の
技術者よりも緩い要件で認められて良いのか、という問題ともいえます。
・そのため、営業所と現場、双方の技術水準の整合性を保つための措置ともいえます。
4.富士土木事務所での「指導監督的実務経験」証明の厳しさ
一般建設業の「10年実務経験」の証明すら書類集めが大変ですが、特定建設業の「指導監督的実務経験(2年以上)」の証明は、さらに緻密な裏付け書類の提出を求められます。
富士市を管轄する「静岡県 富士土木事務所」の審査では、以下のような書類を過去の工事ごとに精査されます。
元請工事であることを証明する書類:
・発注者との間で交わした「工事請負契約書」や「注文書・請書」(請負金額が4,500万円以上であ
ることの確認)
・工事代金の入金が確認できる「法人口座の通帳コピー」
指導監督的な立場にいたことを証明する書類:
・当時の「配置技術者台帳」や「施工体制台帳」の写し(申請者が現場の主任技術者や監理技術者
として名前が記載されていることの確認)
・実際に下請業者に指示を出していたことがわかる工事写真や施工計画書など
「過去に4,500万円以上の元請工事をやった記憶はあるけれど、当時の施工体制台帳が見当たらない」といった理由で、静岡県の審査をパスできず、特定許可を断念せざるを得ないケースが後を絶ちません。
5.まとめ:特定建設業許可へのステップアップはプロにご相談ください
特定建設業許可の取得は、会社がワンランク上の大型工事を受注し、さらなる成長を遂げるための大きなチャンスです。しかし、その要件である「営業所技術者」の証明は、一般建設業とは比較にならないほど複雑で、法律の正確な解釈と過去の膨大な書類精査が必要となります。
・社内の資格者が指定7業種の特定要件を満たしているかの確認
・資格なしルートにおいて、過去の元請実績(4,500万円以上)が指導監督的実務経験として認め
られるかの診断
これらをお悩みの経営者様は、ぜひ当事務所にお任せください。富士市・富士宮市の地元の特性や、富士土木事務所の審査傾向を熟知した行政書士が、過去の書類を一枚ずつ丁寧に精査し、特定建設業許可の取得ルートを導き出します。
初回のご相談は無料ですので、まずはどうぞお気軽にお問い合わせください。
【当事務所の対応エリアについて】
当事務所は、富士市・富士宮市を中心に、沼津市、三島市、静岡市清水区など静岡県東部・中部全域の建設業・産廃業許可をサポートしています。「ウチの地域まで来てくれるかな?」と思われた方も、どうぞお気軽にご相談ください。初回ご相談無料で承ります。
また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。
陸から海までワンストップでサポートさせていただきます!
