
こんにちは。富士市・富士宮市を中心に営業する行政書士・海事代理士の海野孝幸です。
富士市・富士宮市は、全国有数の製紙工場や製造業が集まるモノづくりの街です。日々の生産活動に伴い、工場や事業所からは膨大な産業廃棄物が発生しています。
これらの産廃処理を中間処理業者に委託した際、処理の過程で必ず発生するのが「燃え殻」などの処理残さ(ざんさ)です。
実務において、地元の事業者様からよくこのようなご相談をいただきます。
・中間処理から出たゴミなんだから、排出事業者は中間処理業者でしょ?
・中間処理業者がそのまま自社のトラックで最終処分場に運ぶなら、許可は不要では?
実は、これは大きな間違いです。
もし間違った認識のまま運用を続けていると、悪気がなかったとしても「無許可営業」や「不適正処理」とみなされ、厳正な行政処分等の対象になってしまうリスクがあります。
今回は、富士・富士宮地域で活動する行政書士の視点から、複雑な「中間処理産業廃棄物(残さ)」の法律上の位置づけと、実務で絶対に守るべき委託契約のルールを分かりやすく解説します。
1. 結論:中間処理後の「残さ」の排出事業者は誰か?
まず、もっとも重要な結論からお伝えします。
中間処理業者が処分を行った後に生じた残さ(例:焼却施設で燃やした後に残った「燃え殻」など)の排出事業者は、中間処理業者ではありません。
「最初に産業廃棄物を排出した事業者(元々の排出事業者)」となります。
廃棄物処理法では、産業廃棄物の処理責任は「発生から最終処分が終了するまで」の一連の行程において、あくまで最初に排出した者にあると定めています(廃棄物処理法第12条第7項)。中間処理を挟んだからといって、その処理責任が途中で消えたり、中間処理業者に移ったりすることはありません。なお、廃棄物処理法第12条第7項は「努めなければならない。」と規定されているため、努力義務規定のようにも読めますが、実際には最初に排出した事業者に処理責任があると厳格に運用されています。
【例外】ただし「ばいじん(煤塵)」は別物!
ここで一つ注意が必要なのが、同じく焼却に伴って発生する「ばいじん(煙やススが冷えて施設内に残った微粒子)」の扱いです。
法律上、ばいじんは「中間処理業者(焼却施設など)が新たに発生させた産業廃棄物」と定義されているため、ばいじんの排出事業者は「中間処理業者」になります。ここを混同しないようにしましょう。
2. なぜ「自社処理だから許可不要」は間違いなのか?
過去の古い運用の名残から、一部の地域や業者の間では、
「中間処理業者が、自ら出した残さを運搬・処分するのは『自社処理(事業者が自ら処理する)』にあたるため、業の許可は不要である」
という誤った解釈(運用)がなされているケースが今も見受けられます。
しかし、平成12年の法改正および平成17年の環境省通知によって、この「許可不要」という考え方は明確に否定されています。
「自社処理(許可不要)」という特例が認められているのは、あくまで「事業者(最初の排出事業者)」本人のみです。事業者とは異なる存在である「中間処理業者」には、この特例は適用されません。
したがって、中間処理業者が自ら処理残さ(燃え殻など)を最終処分場へ運搬したり処分したりする場合、当然ながら「産業廃棄物収集運搬業」や「産業廃棄物処分業」の許可が必要になります。既述の通り、残さの処理責任はあくまで排出事業者であるため、中間処理業者にとってその残さは「自ら排出した」廃棄物にはあたらないからです。さらに、処分を行う場合には「処分施設の設置許可」も必要となり得ます。
これらを無許可で行うと、たとえ「自社処理だと思っていた」と言い訳をしても、悪質な不適正処理として厳しい行政処分の対象になります。静岡県の監査でも厳しくチェックされるポイントです。
3. 実務のポイント:最初の排出事業者が「契約」で考えるべきこと
では、富士市・富士宮市の排出事業者様は、具体的にどのような実務を行えばよいのでしょうか?
ここで重要になるのが、「契約の相手」と「排出事業者としての責任」を切り離して考えるという視点です。
法律上の処理責任の流れは以下のようになります。
A:最初の排出事業者(あなた)
B:収集運搬業者
C:中間処理業者
D:残さの収集運搬業者
E:最終処分業者
残さ(中間処理産業廃棄物)の排出事業者は「A(あなた)」なのですから、本来であれば、その後の運搬業者Dや最終処分業者Eとも、Aが直接契約を結ぶ必要がありそうに思えますね。
しかし、このような場合、AはD及びEとの直接契約は不要とされています。
二次委託とは?
中間処理業者Cが、Aに代わって残さの処理をDやEに委託することは、法律上「二次委託」に該当します。
実務上の注意点をまとめると、以下の2点になります。
1.直接の契約相手を明確にする
排出事業者Aが直接契約書を交わすべき相手は、最初の運搬業者Bと、中間処理業者Cの2社です(A→B、A→Cの契約)。これを一次委託といいます。
2.二次委託はCとD、CとEとの間で締結する
二次委託とは、Cが自ら処分(中間処理)を行った後に新しく生じた廃棄物(残さ)を、次の運
搬業者Dや最終処分業者Eに引き渡して処理させる行為です。これは「再中間処理」や「最終処分
への委託」に該当します。Aは二次委託の契約当事者とはなりませんが、発生から最終処分まで
のルートを管理する責任があります。そのため、AとCの間で結ぶ最初の委託契約書の中に、「最
終処分の場所の所在地、方法、施設の処理能力」を記載しておく(あるいは書面を添付する)義
務があります(令第6条の2第4号ホ)。 また、マニフェストには最終処分を行った場所の所在地
の記載が必要となること等にも注意が必要です。
ここまでのお話を簡単にまとめたものを下図に示しました

なお、二次委託と混同しやすいものとして、再委託(法第14条第16項)というものがあります。
これは、Aから処理を請け負ったCが、「自分の受託業務(=中間処理)そのもの」を他人に丸投
げすることです。これには原則禁止の例外として「Aの事前の書面承諾」が必要です。
まとめ:富士市・富士宮市の複雑な産廃手続きは専門家へ
中間処理後の「残さ」は、見た目は中間処理業者から出たものに見えますが、法律上の責任のバトンは、ずっと最初の排出事業者が握ったままです。
・「中間処理業者が勝手に処理してくれるから大丈夫」
・「自社処理だから許可はいらないと言われた」
といった言葉を鵜呑みにしていると、気付かないうちに法律違反の片棒を担がされてしまうことになりかねません。特に製紙業や製造業の盛んな富士市・富士宮市では、行政の指導も適正に行われています。
産業廃棄物の許可要件や、委託契約書のリーガルチェック、適正な運用の構築は、非常に複雑です。少しでも不安な点や、「現在の契約書のままで大丈夫か?」といった疑問がございましたら、産廃業の手続きに精通した当行政書士事務所へお気軽にご相談ください。地元の事業者様のコンプライアンス遵守を全力でサポートいたします。
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【当事務所の対応エリアについて】
当事務所は、富士市・富士宮市を中心に、沼津市、三島市、静岡市清水区など静岡県東部・中部全域の建設業・産廃業許可をサポートしています。「ウチの地域まで来てくれるかな?」と思われた方も、どうぞお気軽にご相談ください。初回ご相談無料で承ります。
また、海事代理士業務も行っていますので、海や船舶、船員さんなどの手続きを行いたいといった場合にもお気軽にご相談ください。
